聖書の成立について教えて下さい
質問
聖書はずいぶん古い書物であると聞きましたが、どのようにしてできたのでしょうか。
また、私たちは、聖書の本文を信用してよいのでしょうか。
旧約聖書の成り立ち
聖書は大きく旧約聖書と新約聖書に分けられますが、まず、旧約聖書についてお話ししましょう。
神と人間の物語は、はじめには、伝承のかたちで世代から世代へと口で言い伝えられておりました。
紀元前2000年の終わり頃に、文字で書かれた記録があったことが知られています。
旧約聖書の最初の5つの書はモーセの五書と言われていますが、
モーセは律法を石板に刻みつけるようにと、神からはっきりした命令を受けました。
その時、「書かれた法」と「口伝の教え」が与えられたと言われています。
その後、預言者の活躍した時代に、エレミヤ(紀元前6世紀頃)は、
彼の書物がどのようにしてできたか、
またそれが何のために用いられるべきかを明らかに述べました。
エレミヤ書36章1節から4節ですが、そこには
「主が彼に語った言葉をことごとく巻物に書き記した」とあります。
聖書は神の霊感によって書かれたといわれていますが、
聖書の本当の著者が神ご自身であることがわかります。
紀元前5世紀には、モーセ5書がユダヤ民族の根本的な成文律法とみなされるようになり、
この規範に従って、日常生活・社会生活が営まれるようになりました。
そして、モーセの5書(トラー)は、紀元前300年には完全な形をとりました。
預言書もおそらく前200年までにはおおよそ完成しました。
一番大きな問題が起こったのは、諸書とよばれる部分です。
ラビ(ユダヤ教の教師)たちは長い時間をかけて、その基準を探し、
西暦100年頃に、当時のユダヤ人の精神的中心地ヤブネで、正典が最終的に確立され、
以後追加も削除もいっさい行われませんでした。
その結果、ユダヤ世界で生み出された、ヘブライ語や、アラム語で書かれた多くの聖なる書物が正典の外に取り残されました。これらは、アポクリファ(外典)、及び、プセウドエピグラファ(偽典)と呼ばれています。
新約聖書の成り立ち
新約聖書の正典が確立したのは、紀元3世紀の終わり頃です。
どの文書を正典として認めるかについては、長い間流動的な状態が続きました。
それは福音書や書簡が書かれた場所が広い地域にまたがっており、
集大成する事が困難であったことや、ローマ帝国による長い迫害が原因です。
キリスト教がローマの国教として認められると、
その当時の教会がいくつかの教会会議において、
信仰と生活のための正典(カノン)として、聖書の範囲を確定したのです。
その後、これまで知られていなかった初代教会の文書が発見されましたが、
それらは本質的には、何も新しいことを知らせてはいません。
聖書は信じられるのか
元来、聖書の本文は、パピルス紙かまたは羊皮紙に書きつけられたものです。
印刷技術が発明されるまでは、その本文は筆写によって、広められていたのです。
当時のユダヤ人は、聖書の複写をするときに、一字一句間違えることのないように、
細心の注意を払って書き写しました。
聖書を書き写すことを専門職とする人も養成されました。
現在使われているヘブライ語聖書の基礎となっているのは、
レニングラード写本と呼ばれる紀元900年代のものです。
今世紀最大の発見と言われる「死海写本」は紀元前100年のものであるにかかわらず、
両写本の間に寸分の違いも見いだせませんでした。
これによって、聖書が、最も正確に伝承された書物である事が明らかになりました。
また、イスラエルでは、聖書考古学に基づく発掘が、盛んに行われていますが、
過去の伝説とされていた出来事が、歴史的事実として証明されています。
神の言葉である聖書
最後に、聖書は、神のみわざを報告しているだけでなく、
聖書の中で、神が自ら私たちに語りかけておられるのです。
ですからわたしたちは、聖書の言葉の中に神の御声を聞くことができるのです。
聖書を開いて、あなたに語りかけられる神の言葉に耳を傾けましょう。
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